花粉症にまだ間に合うビタミンD
健康管理士一般指導員の國重です。
ちょっと知るだけで、健康につながる情報をお届けいたします。
今月はビタミンDです。
なんとビタミンDのお話は3回目になります。
この季節から準備すれば花粉症に間に合うのと、インフルエンザの流行に備えて知っておいていただきたい知識です。
前回は2年前で「サーファーに花粉症はいない」“斉藤糧三先生著”ということでビタミンDは太陽の光にあたると皮膚で作られるというお話でした。
しかし、UV対策している女性が多いので、ほとんどの方(ある統計では98%)がビタミンD不足なのです。
■花粉症のメカニズムを知ろう
花粉症とは・・・、
①鼻粘膜に花粉が付く
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②マクロファージが花粉を食べる
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③花粉は抗原なのでヘルパーT細胞に抗原が入ってきた情報が伝わる
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④司令塔となるヘルパーT細胞が抗原の情報をB細胞に伝え抗体を作る
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⑤マスト細胞(肥満細胞)の表面のIgEに抗体がくっついてヒスタミンを放出
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⑥鼻水・くしゃみが出る
花粉症のお薬は「抗ヒスタミン薬」といわれていますので、⑤のヒスタミンを抑える、若しくは無効化して花粉症の症状を抑えているわけです。
有名なのが「アレグラ」です。
■ビタミンDは免疫に効く
これに対しビタミンDは、②~④の白血球の免疫応答細胞(マクロファージ・T細胞・B細胞)の暴走を抑え管理しているといわれています。
ビタミンDがあることでこれらの免疫細胞が正常化され、免疫の暴走を抑え、花粉症・風邪・インフルエンザ・アレルギーを抑える効果があると多くの臨床結果があるのです。
この理由は、オートファジーをビタミンDが引き起こしているのでは?という説が有力になっています。細胞自身が異常・損傷があると自分で自分を食べて細胞の掃除をしてくれるということらしいのです。
細胞に異常が見つかると、オートファジーで大掃除を行い細胞の健全性を保ってくれているというわけです。
また、ビタミンDはカテリシジンやディフェンシンなどの免疫システムの産生を誘発し、細菌・ウイルス・真菌などの感染症から体を守ってくれます。実際、抗生物質が発見されるまでは日光浴が感染症の治療法だったのです。
カテリシジンやディフェンシンというたんぱく質は細菌やウイルスを死滅させ、生存率を低下させ複製速度を下げていきます。
そのため、ビタミンDが不足している人はインフルエンザやCOVID-19にかかりやすいということになるのです。
他にも、国立長寿医療研究センターでは、ビタミンDが不足している人はそうではない人に比べサルコペニア(年齢と共に筋肉力が減っていく老化現象)を発症するリスクが上昇すると明らかにしています。
また、ビタミンD不足は骨粗しょう症のリスクを高めること、アルツハイマー型認知症のリスクも高めてしまいます。
特に冬場はビタミンDの皮膚合成は期待できないことから、高齢の方は普段から不足していると考えられるビタミンDを効率よく摂るためにサプリメントを検討するのもよいかもしれません。
■ビタミンDと一緒に摂って欲しい栄養素
免疫系のマクロファージ・T細胞・B細胞にはそれぞれビタミンD受容体があり、感染症だけでなく慢性疾患や炎症の抑制(老化の抑制)などもビタミンDに依存しています。
ただし、亜鉛が不足するとビタミンD受容体はビタミンDを受け入れません。
つまり亜鉛が不足していると、もれなくビタミンDも不足していくことになります。
マグネシウムとビタミンKもビタミンDのサポートしてくれますのでビタミンDを摂る時は、ビタミンK・マグネシウム・亜鉛を意識して摂りましょう。
ビタミンDは脂溶性なので食後に摂ることで吸収がよくなります。できれば朝食の後に摂ることをおすすめします。
ビタミンDは体内時計をリセットする作用があるので、昼型の生活をしている方は朝、夜型の人は夕食の後がベストな時間になります。
ビタミンDが多い食品は「鮭」「いわし」「シラス干し」「サンマ」「カレイ」「干し椎茸」「卵」などです。
冬にビタミンDを補給して、風邪や花粉症に備えたいと思ったらビタミンDだけでなく、マグネシウムが摂れる「納豆」「焼きのり」「アボガド」「豆腐」などもおすすめです。
この組み合わせは、まさに日本の朝食の「定番メニュー」ですよね。
腸活にもぴったりなのでおすすめです。
まとめ
・ビタミンDは細菌・ウイルス・真菌などの感染症から体を守ってくれる
・ビタミンDが不足するとインフルエンザやCOVID-19にかかりやすくなり、骨粗しょう症・アルツハイマー型認知症のリスクも高める
・ビタミンDは体内時計をリセットする作用もある
・ビタミンDは食後に摂ることで吸収がよくなるため、昼型の人は朝食、夜型の人は夕食の後に摂るのがベスト
・風邪や花粉症に備えるには、「日本の朝食」がぴったり!