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「快適老後生活」どこで暮らそう?

私の介護とお金のおはなし 講義5|講師:市川 裕子
「快適老後生活」どこで暮らそう?

厚生労働省から「令和3年簡易生命表」が発表されましたが、男性の平均寿命は 81.47年、女性の平均寿命は 87.57年と前年を下回る結果となりました。

男女ともに悪性新生物<腫瘍>、肺炎、交通事故などによる死亡率の変化はこれまでと同様に平均寿命を延ばす方向に働いているものの、老衰、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等などの死亡率の変化が大きく一時的に平均寿命を縮めました。

予測できないような変化が起こる昨今ですが、「老後生活」も健康で楽しく快適に過ごしたいですね。

ただ残念なことに年齢とともに要介護認定率は高くなり、80歳~84歳では約3割、85歳~89歳では約5割、90歳以上では約7割の人が要介護認定されており、介護が必要となった場合のことを考えざるをえません。

厚生労働省老健局が行った「介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集(結果概要について)」によると、下記のように親と子では『介護と住まい』に関する考え方のギャップがあるようです。

【自分が介護が必要になった場合】
①家族に依存せずに生活できるような介護サービスがあれば自宅で介護を受けたい→46%
②自宅で家族の介護と外部の介護サービスを組み合わせて介護を受けたい →24%
③有料老人ホームやケア付き高齢者住宅に住み替えて介護を受けたい→12%

【両親が介護が必要になった場合】
①自宅で家族の介護と外部の介護サービスを組み合わせて介護を受けさせたい→49%
②家族に依存せずに生活できるような介護サービスがあれば自宅で介護を受けさせたい→27%

※出典:厚生労働省 介護保険制度を取り巻く状況

我が家は、母も私も「自宅で介護」と考えていたこととバリアフリー設備が整った環境でしたので最後まで自宅で介護しましたが、要介護度が進んだ場合には介護保険施設や介護付き老人ホームへの入居することも視野に入れて検討はしていました。

講義2で『介護が必要となった原因』に高齢による衰弱や骨折・転倒をあげましたが、年齢とともに身体的機能や認知機能は低下していきます。

これまで普通にできていた階段の上り下りや入浴、家事がつらくなってきた。そんな場合には、手すりをつけたり段差を解消するなどのバリアフリー化が必要かもしれません。

電車やバスでの移動、通院・日用品の買い物などでの遠出の外出がつらくなってきた。そんな場合には、思いきって近場に環境が整った地域への住み替えを検討しても良いかもしれません。

要支援・要介護の認定を受けるなど日常生活でのリスクが高まり、介助が必要となってきた。そんな場合には、日常生活の手助けができる人との同居や近隣への住み替え、介護保険施設や介護付き老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、高齢者向け住宅への入居を考えるタイミングかもしれません。

次に、バリアフリー化などの住宅改修や住み替え資金の準備方法として「マイホームを活用した資金づくり」を2つご紹介します。

■リバースモゲージ

マイホーム(不動産)を担保に融資を受け、死亡時など契約終了後に、その担保不動産を売却して融資残高を返済する制度です。(預貯金、保険金などで返済することも可能です)

自治体(各都道府県の社会福祉協議会)が主体となった、低所得者向けに実施するローンと、銀行や信託銀行などの一般の金融機関が一般の消費者向けに実施するローンがあります。

ご本人または配偶者の生活にかかる資金であれば何にでも使用可能です。

(例)
•医療費や介護費など、万一の際の費用
•老後の生活資金(有料老人ホーム入居資金など)
•住宅の建替え(バリアフリー住宅建築など。店舗併用住宅を含む。ただし、第三者が営業する店舗は除く)
•住宅の改築(バリアフリー化・老朽化対策など。店舗併用住宅を含む。ただし、第三者が営業する店舗は除く)

■マイホーム借り上げ制度

一般社団法人 移住・住みかえ支援機構(JTI)が、高齢者の所有する住宅を借り上げて、子育て世帯等へ転貸する制度です。

制度を申し込み後、1人目の入居者が決定以降は、空室が発生しても規定の賃料が保証されます。
住宅が賃貸可能な状態である限り借上げを継続しますので、安定した賃料収入が見込めます。

定期借家契約を活用するため、入居者が居座ったり、立ち退き料を請求されることはありません。
定期借家契約終了時に、マイホームに戻ることができますし、売却することもできます。

「快適老後生活」のイメージは描けそうですか?
皆様にも親子で話し合っていただき、その時々の心身状況や経済状況に合わせた過ごし方を選んでいただければと思います。

次回のテーマは『「意思決定」ができなくなったときには』
成年後見制度と民事信託契約についてお伝えしたいと思います。


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講師プロフィール

介護ファイナンシャルプランナー CFP®
市川 裕子

メーカーで会社員をしつつ母の介護を行うこと10年。
そのかたわらで様々なことを学び、ファイナンシャルプランナー、福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。
これらの知識や自分の経験を身近な人達の為に活かしたいと思い、NPO法人 くらしとお金の学校に参加したり、教育活動やブログ等で情報をシェアし、地元を中心に根付いた行動をしています。
母の介護を行った10年間の経験を交えながら、介護とお金に関する情報を皆様にお伝えしたいと考えています。

講師インフォメーション

▼埼玉FPフォーラム2022のご案内(オンラインでのご参加も可能です)

介護以外の情報などもブログでご案内しています。
▼講師ブログ いちこの知恵袋

▼NPO法人くらしとお金の学校


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