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親と子、自分らしく暮らすためには

私の介護とお金のおはなし 講義2|講師:市川 裕子
親と子、自分らしく暮らすためには


親の「老後」と「介護」そして「それぞれの生き方」について、親子で話をしたことがありますか?
親子といえどもそれぞれ別の人間です。それぞれ想いや考え、望みが違うかもしれません。

私の場合、母の病気が進むにしたがって、「障害者手帳取得」から「介護認定」という流れを経たので、心の準備と対応を徐々に行うことができました。
母と話し、考えながら、親子で介護の方法、どのように生活していこうかを探ることもできました。

しかし、『介護が必要となった原因』を見てみると
■男性
1位 脳血管疾患(脳卒中)23%
2位 認知症 15.2%
3位 高齢による衰弱 10.6%

■女性
1位 認知症 20.5%
2位 高齢による衰弱 15.4%
3位 骨折・転倒 15.2%

介護は突然やってくるのです。

※出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年)

突然やってくる介護生活は、親と子、それぞれの生活や思い描いていた未来を変えてしまうかもしれません。

もし「話ができない」「思いを伝えづらい」そんな状況になってしまったら、親の気持ちや希望を知ることすら叶わなくなってしまうかもしれません。

でもあらかじめ、お父さん、お母さんが、「どこでどのように暮らしたい」と思っているのか、「どんな介護を希望している」のか、「だれに介護してもらいたい」と思っているのか、そんなことを話し合っておけば、いざというときに慌てたり希望が叶わない、といった悲しい思いをすることもなくせます。

話し合っておくとよいこと

▼記入表は下記からダウンロードいただけます
※別紙「話し合っておくとよいこと記入表」に記入してみましょう

①どのように過ごしたいと考えているのか

・住居や老後の暮らしなどについてどんな価値観を持ち、どのように過ごしたいと考えているのか
・具体的なライフプラン(人生設計・生涯生活設計)やキャッシュフローがあるのか
・財産管理について成年後見制度(※1)や民事信託契約(※2)などの利用希望があるのか

※1 認知症等により判断能力が不十分な方の財産管理などを家族や第三者に依頼する制度
※2 家族信託ともいい、家族に財産管理などを任せる仕組みで、委託者と受託者が信託契約を結ぶ

② 医療や介護について

・持病の有無と病歴について
・病気の告知や延命治療に関する希望があるのか
・誰に介護してほしいと思っているのか
・介護にかかるお金を自分で用意してあるのか、援助してほしいと考えているのか
・自宅で介護してほしいのか介護施設や高齢者向けの住宅などに入居したいと考えているのか
・利用したい介護サービスや利用したくない介護サービスはあるのか

③ 亡くなった後のことについて

・葬儀やお墓、法要について希望はあるのか
・亡くなったことを知らせてほしい友人や知人の名前と連絡先
・相続に関する希望や遺言書の有無
・大切なもの(保険証や年金手帳、通帳やカード、実印)の保管場所

最近は、離婚や再婚している方も増えているので、以前の家族についても確認しておく必要があるかもしれません。

私の場合、母は父と再婚だったのですが、前の旦那さんについて聞いていたので、母が亡くなった後母の生まれた時から亡くなるまでの戸籍謄本を集める手続きをスムーズに行うことができました。

話し合うタイミングや、関係者へ希望を伝えるツールは

想いや考え、望みは時間の経過とともに変わっていくものです。
一度話し合ったらおしまいではなく、定期的に確認や見直しをしましょう。
新年を迎えた時や帰省した時などを話し合う目安にしても良いですね。

人の記憶はあいまいなものです。
書き出すことによって整理できることもあります。
ノートに自由に書き出してみるのも良いですし、「エンディングノート」などのツールを使うのも良いかと思います。

書き出したものはそのまま家族で情報共有することができます。
人に見せることにためらいがあるときは、「家族会議」を開いて話し合いや思いを共有するのも良いかと思います。

徐々に話し合い、考えながら過ごしてきた私と母の介護生活ですが、それでも話し合うことや聞いておくことが足りず、亡くなった後の手続きで困ったこともありました。

改まって話をしようとすると気恥ずかしいことがあるかもしれませんが、普段の会話の中でお互いに少しずつ伝えていくこともできます。

最近はメールやLINEなど便利なツールで離れていてもいつでもつながることができます。
ですが、たまには電話やテレビ電話で話してみてはいかがでしょう!
声のトーン、表情で伝わる気持ちもありますよね。

次回のテーマは『「介護保険」てどんなもの?』
介護保険の内容と手続き、使える支援・制度についてお伝えしたいと思います。
この講義を読んで早速書き出してみてください。

▼記入表プレゼント
 下記をクリックし、印刷してお使いくださいませ。
「話し合っておくとよいこと記入表」

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講師プロフィール

介護ファイナンシャルプランナー CFP®
市川 裕子

メーカーで会社員をしつつ母の介護を行うこと10年。
そのかたわらで様々なことを学び、ファイナンシャルプランナー、福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。
これらの知識や自分の経験を身近な人達の為に活かしたいと思い、NPO法人 NPO法人 くらしとお金の学校に参加したり、教育活動やブログ等で情報をシェアし、地元を中心に根付いた行動をしています。
母の介護を行った10年間の経験を交えながら、介護とお金に関する情報を皆様にお伝えしたいと考えています。

講師インフォメーション

▼NPO法人くらしとお金の学校


▼講師ブログ いちこの知恵袋


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