電子レンジでもできる「おいしい燗酒」
にほん酒はじめ 講義11|講師:葉石かおり
電子レンジでもできる「おいしい燗酒」
「とっとと去ってちょうだい!」と思っていたあつ~い夏が去り、気づけばすっかり暖が欲しい季節。
愛しい我が家のメダカの産卵の季節も終わり、何だか急に心まで寒くなってしまったかのよう…。ああ、燗酒が恋しい。
「え、そこ?」というツッコミはおいといて、いよいよ燗酒がより一層おいしい季節となりましたね。
まあ、燗酒は一年中おいしいし、前々回の講座でもお話した通り、心が疲れた時にぴったりな飲み方でもあります。
しかし、しかしですよ、やっぱり寒い時期に飲む燗酒がいいんです。
手足の先まで冷え冷えの中、ほんのり湯気が立ったちょっと熱めの燗をずずっとすするのが、お酒好きにとってはたまらないひと時なんですね。
そこに湯豆腐があったら、もう何も言うことありません。
でも意外なことに「燗酒は鼻にツンとするアルコール感が苦手」という方が多いんですよね。
確かに30年以上前は今のように日本酒の情報もなく、居酒屋で燗酒を頼むと、湯気がもうもうと立ち、徳利を持つことすらできない熱湯のような燗酒が出てきたっけ(遠い目)。
口をつけた途端、鼻につーんと抜けるアルコール感。味わうというより、単に酔うためのお酒でした。
そんなこともあってか、一時期、「燗酒はまずい酒を温めてごまかすもの」なんてイメージがついちゃったのかな?
しかし今は違います。米の旨味がたっぷりのおいしいお酒こそ、燗酒にする時代なんです。
さて、前置きがかなり長くなりましたが、今回は自宅で簡単に、それも電子レンジを使ったおいしい燗酒のつけ方をお伝えします。
用意するものは電子レンジでも使える徳利と、お好みの日本酒。昨今は最初から燗に向くように酒の味を設計したものもいっぱいあります。
また「全国燗酒コンテスト」もあって、HPを見ると受賞した銘柄が掲載されているので、参考になると思います。
そしてもう一つ、忘れてはならないのがお箸。「燗酒にお箸?」と思いますよね。
実はこれが一番欠かせないアイテムなんです。それでは、いざ実践とまいりましょう。
(電子レンジでおいしいお燗の仕方)
①徳利の8分目までお酒を注ぐ
ぎりぎりまでお酒を入れてしまうと温まった時に熱によって体積が増え(熱膨張)、こぼれてしまうので注意。
私が使っている徳利は、200mlで8分目となりました。お酒は常温の状態で22.1℃でした。
②600Wの電子レンジで40秒温める
40秒だったら一度、徳利を取り出します。
③お箸で徳利の中を混ぜる
ここがポイント。混ぜることによって徳利の中の温度が均等になります。
電子レンジの場合、徳利の首(細い部分)ばかり温まり、底との温度差が生じやすいため、お箸で混ぜて全体の温度を均一にするのです。
④600Wの電子レンジで再度40秒温める
レンジから取り出したらさらに混ぜると、より温度が均等に。これで50℃の熱燗が出来上がります。
徳利の素材、常温でのお酒の温度で加熱する時間は微妙に変わりますが、これを基本にすれば好みの温度の燗酒になります。
我が家の電子レンジはお燗モード(仕上がり温度50℃)がありますが、レンジ任せにするとかなり熱々になってしまいます。
ちょっとひと手間でも、ここでご紹介したやり方がおすすめです。
「もっとマニアックな燗のつけ方に挑戦したい!」という方は、ぜひ錫のチロリを購入されることをおすすめします。
電子レンジでは使えませんが、昔ながらの方法で小鍋にお湯を沸かし、チロリを入れてじわじわ温めるのもまた一興。
またお湯を入れる壺と、徳利がセットになった卓上で使える「湯かんセット」もたくさん種類が出ています。
自分のライフスタイルに合った方法で、もっと自由に燗酒を楽しんでみてください。
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講師プロフィール
酒ジャーナリスト、エッセイスト
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション理事長
葉石 かおり(はいし かおり)
講師インフォメーション
▼著書 「名医が教える飲酒の科学 一生健康で飲むための必修講義」
講座のイラストを制作されているのは藤井昌子さんです。
素敵なイラストをたくさん制作されています。
よろしければ下記をご覧ください。
イラストレーター 藤井 昌子 ホームページ