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南国・壱岐の風をグラスで味わう「よこやま夏純吟」

にほん酒はじめ 講義16|講師:葉石かおり
南国・壱岐の風をグラスで味わう「よこやま夏純吟」

日本は年々、夏が早くなり、さらには暑い時期が長くなっているような気がしますよね。

高温多湿の日本の夏は個人的にはちょっと苦手なんですが、この時期ならではのお楽しみがあるんです。
それが「夏酒」。夏酒とは半袖が恋しくなるシーズンに出される、夏向けのお酒のこと。

「これじゃなきゃ」という難しい定義はなく、「蒸し暑い夏に飲んでおいしいお酒」をテーマに造られたお酒を指します。
ここ10年ほどですっかり定着した夏酒は、各社から販売されていて、今や夏の風物詩のようになっています。
コンセプトはそれぞれ。きんきんに冷やしておいしい、辛口、ロックで、はたまた夏バテにきくウナギに合わせてなど、各社工夫を凝らして造っています。

数えきれないほどたくさんある夏酒ですが、今年オススメさせていただきたいのが長崎県壱岐市にある『重家酒造』が放つ『よこやま 夏純吟』(1639円)です。

見てください、見るだけで心が躍るトロピカルなラベルを!飲む前に既に心は壱岐へ飛んでしまいそうです。
こちらのラベルは蔵元の横山太三さんがイメージを考え、デザイナーによって生まれたもの。
かわいいカニさんたちがビーチボールで遊んでいるのがまたオトメ心をくすぐりますよね。
実はこのラベル、一枚ずつ手で貼っているというから驚きです。

凝っているのはラベルだけではありません。
もちろん酒質も「夏に向くように」と緻密に計画を練って造られています。
辛口といっても、米の旨味と甘味を感じる飲み飽きしない味わいです。
パイナップルを思わせるフルーティな香りが特徴で、冷やして、ワイングラスでいただくとゴージャスな気分を味わっていただけます。

合わせたい料理を横山さんにうかがうと、「夏野菜とディップ、またはお酒の酸味に合わせてアジの南蛮漬けがピッタリですよ」とのこと。
想像するだけで、喉が鳴りますね。
また新玉ねぎとパクチーのサラダ(レモン+ナンプラー)、茹でアスパラの目玉焼き乗せなど「切っただけ」、「茹でただけ」のシンプルクッキングの料理とも好相性です。他にもハモ、トマト、きゅうりといった夏の食材、フルーティなオリーブオイルとも良く合います。

さて、お酒の紹介を終えたところで、蔵の紹介もちょっと。

『よこやま』を醸す重家酒造は2018年に創業されました。
元々、重家酒造は本格焼酎に加え、日本酒も造っていたのですが、杜氏の高齢化などさまざまな理由によって一時造りを断念。
「いつか日本酒を造りたい」という思いを抱き、蔵を建てる場所を長年探し続け、やっと今の地に巡り合えました。

なめらかな口当たりの酒質は、横山さんが「理想の水」と絶賛する仕込み水の影響を大きく受けています。
また横山さんが納得いく形で選び抜いた蔵の機器はいずれも最新のもの。
冷蔵管理も完璧で、搾った瞬間のフレッシュなお酒を飲み手に届けることができます。

自然豊かな壱岐で育まれた『よこやま』は、発売から2年足らずで多くの日本酒ファンを虜にしています。もちろん私もその一人。
「エレガント」という言葉がマッチする『よこやま』は、日本酒に不慣れな方でもすんなり入っていける一本。
夏純吟を機に、ぜひ『よこやま』を手にとってみてくださいね。

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講師プロフィール

酒ジャーナリスト、エッセイスト
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション理事長
葉石 かおり(はいし かおり)

ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て現職に。
全国の酒蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。
2015年、一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。
国内外で日本酒の伝道師であるサケ・エキスパートを育成する。
「酒好き医師が教える最高の飲み方」(日経BP社)がベストセラーに。
近著に「日本酒のペアリングがよくわかる本」、「焼酎マニアックBOOK」などがある。
NHK「ごごナマ」、NHK Eテレ「日本酒のいろは」などに出演。
連載に「左党の一分」(日経good day)、「酒な屋」(朝日新聞)、「イケメン蔵元」(わん酒)など。

講師インフォメーション

一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション


葉石かおりオフィシャルサイト

著書「すぐ呑み つまみと酒122」

著書 「名医が教える飲酒の科学 一生健康で飲むための必修講義」

著書 「酒好き医師が教える 最高の飲み方」 日経BP

著書「日本酒のペアリングがよくわかる本」


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