夫婦関係が良くなる「別居婚」を楽しく長く続ける方法
ココカラ夫婦物語 講義31 |講師:高草木 陽光
夫婦関係が良くなる「別居婚」を楽しく長く続ける方法
皆さんは、「別居」と聞いてどのようなイメージをされますか?
「離婚寸前なのかしら?」「夫婦仲が悪いのね」。
このように、決して良いイメージで受け取られないのが現実かもしれません。しかし、別居をしている夫婦の理由や目的は、「夫婦仲が悪くなった」とか「離婚をするため」だけではありません。
そこで今回は、夫婦関係も良好でお互いに充実した「別居婚」を10年間続けている橋本さん(50歳・仮名)にお話を伺いました。
「別居婚」をすることになったキッカケはなんですか?
橋本:私が40歳、夫が50歳のときに別居しました。これまでも子どもの教育方針について意見が食い違うことが多くて、言い合いも増えていました。子どもにとっても、この環境は良くないと考え、娘が中学生になったのを機に「別居婚」を提案しました。
ご主人には、どんなふうにお話されたのですか?
橋本:私にとっても子どもにとっても夫は大切な存在です。なので、離婚は考えていませんでした。ですが、このままだとお互いに傷つけ合ってしまうと感じたので、少し離れてみたいと…。「夫は大切な存在」「子どものため」「今後の夫婦のため」ということを丁寧に説明しました。
そのときのご主人の反応は?
橋本:当然でしょうがビックリしたようで、言葉を失っていましたよ。当時は「別居婚」なんていう言葉も概念も今ほど周知されていませんでしたから。特に、娘と離れて暮らすことに抵抗があったみたいです。
でも、娘は当時約2時間かけて通学していましたので、学校の近くに引っ越したほうが安心だし、精神的にも肉体的にも楽なんじゃないかということも伝え続けました。
そしたら1ヶ月くらいしてからでしょうか…「別居しながら生活することが“家族”といえるのかどうかは僕にはわからない。けれど、その選択が君と娘の幸せに繋がるのであれば、別々に暮らすことを試してみるのもいいかもしれない」と言われました。
お子さんへは、どのようにお話しされたのですか?
橋本:「別居」という言葉を使うと、不安な気持ちにさせてしまうと思ったので、「ママは、もう一軒お家がほしいのよね〜」と、娘が二軒の家を自由に行き来できるような、娘にとっても“得”になる話を盛り込んで少しずつ伝えていきました。
そのうち娘も「学校と自宅が近くなれば友達と遊ぶ時間が増えるから早く引っ越したい」と言い出すようになりました。「パパともいつでも会える」という安心感もあったせいもあるかと思います。
別居してから、どのような変化がありましたか?
橋本:私と娘は、賃貸のアパートに引っ越したのですが、引っ越した日に夫から電話がありました。
それから毎日、LINEや電話、zoomなどで連絡を取り合うようになり、一緒に暮らしていたときよりもお互いの状況を把握していたかもしれません。
娘が高校生までは、夫のところにもよく泊まりに行っていました。今は、ふたりで連絡を取り合って、ときどき買い物に行ったり食事に行ったりしているようです。
別居婚をしてから夫婦で出かけることも増えました。離れて暮らすと、夫の嫌いだったところや気になっていたところが、どうでもよく見えてきて気にならなくなるんですよ。不思議ですよね(笑)
当時、夫は毎日の家事の効率化を自分なりに研究していて、いろいろと話してくれるのですが、そんな話も客観的に聞けてアドバイスをすることも多かったですね。気持ちに余裕が出てくるんです。感謝や労いの言葉も増えましたよ。
別居婚をして困ったことや不安はありませんか?
橋本:私は、このライフスタイルが快適だし前向きに捉えていたのですが、別居した当初は親戚関係や周りの一部の友人たちからは「子どものためにも戻ったほうがいい」などいろいろ言われました。私は、子どものためにも離れたほうがいいと思って別居婚を選んだのですけどね(笑)
それと、経済的なことも不安がなかったわけではありません。当時から仕事はしていましたが、常に不安はありました。でも、子どもの教育費なんかは夫も協力してくれましたから、その辺は助かりました。
今後も別居婚を続けていくのですか?
橋本:私はこの生活に慣れてしまったので、ずっとこのままでもいいかな〜と思っているのですが、夫は将来的には一緒に暮らしたいと思っているようです。
年齢的にも、だんだんと気弱になってきているので、まぁそのうち考えてあげてもいいかなと思っています(笑)
別居婚を楽しく長く続けるコツはなんですか?
橋本:夫とこまめに連絡を取り合うことですね。常にコミュニケーションを取っておくほうが信頼関係も保てますし、いざというときに助けてくれますから不安も減ります。
言い出しっぺの私よりも、夫の方が当初は不安が大きかったと思うのですが、まめに連絡を取り合うことで安心感が得られたようです。
それと、「別居婚」という聞きなれない提案をするにあたって、それまでの“事前準備”や“根回し”は大事だと思います。
私は当初、あまり意識していなかったのですが、別居婚をする前からお互いに経済的にも精神的にも自立していれば別居婚はスムーズかもしれませんね。普段の会話の中で「別居婚という夫婦のカタチがあるんだよ〜! 私、こういう夫婦関係に憧れるわ〜」なんて何気なく伝えておくとかね(笑)
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いかがでしたか?
これからの時代、新しい“夫婦のカタチ”として「別居婚」を選択する夫婦が増えてくるかもしれません。人生の後半は、「夫婦」というくくりよりも「個」に重点を当てた生き方も素敵です。
あなたは、どんな人生の後半をデザインしますか?
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講師プロフィール
高草木 陽光(たかくさぎ・はるみ)