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コレステロールは低くても「安心」ではありません!

健康管理士一般指導員の國重です。
ちょっと知るだけで、健康につながる情報をお届けいたします。

皆さま、健康診断の結果はいかがでしたか?

診断結果を見てご相談いただきましたが、高コレステロールが気になる方が多いようです。
「コレステロールが高いといわれました。何を食べたらいいですか?」とのこと。聞くと、「総コレステロール値220mgです。C判定の経過観察でした。」と相談されましたが、この数値なら問題ないです♪

「でも、コレステロールが高いと動脈硬化が心配です…」という方へ、コレステロールは誤解されていることも多いので解説いたします!

■まずは、動脈硬化って?

「コレステロールは、動脈硬化の原因なので薬で下げましょう。」とお医者様から言われます。
LDLコレステロールは、傷ついた血管を修復するために動脈壁に蓄積され動脈を硬くするからです。

しかしよく考えると、LDLコレステロールは傷ついた血管を修復しようとしているだけなので、血管が傷つくような食生活(高血糖)をしなければいいのです。

高血糖は血管内皮を傷つけます。
これは、酸化ストレスと糖化ストレスが原因と考えられていますので、喫煙や活性酸素も危険因子になります。

動脈硬化を予防するには、抗酸化力を高めるビタミンA、C、Eと運動がおススメです。

■あなたのコレステロールは使われているのか?

女性の場合、更年期にLDLコレステロールが高くなりますが、これはコレステロールが余っている状態です。

また、甲状腺機能が低下するとLDLコレステロールが高くなります。
どちらも性ホルモンや代謝ホルモンが低下したために、材料のコレステロールが余ってコレステロール値は上昇してしまいます。

コレステロールは炭水化物や脂質、たんぱく質を材料にして、TCA回路で作られるアセチルCoAを材料にして肝臓やお肌で作られます。

コレステロールを作る過程の代謝で「コエンザイムQ10」「エストロゲン・テストステロン」などの性ホルモン、「胆汁酸」お肌では「ビタミンD」などが作られています。

補足ですが、コレステロールを下げるお薬(スタチン系)を使うと、コレステロールは作られなくなりますが、これらの代謝の経路で作られる産物も作られなくなります。
すると・・・いろんな影響がでるのです。
「コエンザイムQ10」不足・・・元気がなくなる
「エストロゲン・テストステロン」不足…精力減退
「胆汁酸」不足…消化力低下
「ビタミンD」不足…免疫低下・うつっぽくなる

他にもコレステロールの多くは脳にあり、神経を包んでいるミエリンに多く分布して情報伝達速度を上げています。
あとは全身の細胞膜もコレステロールで構成されているので、コレステロールが少ないと細胞膜が弱く保水力も低下することになります。

さて、冒頭の「コレステロール値が220mgで問題ありますか?動脈硬化が心配です…。」と相談された方は、30代女性でした。
元気で見た目疲れてもいない、冬によく風邪ひくわけでもない。
お肌がカサカサでもない。つまりコレステロールは使われているし、極端な高値でもない。

なので、健康診断でCの経過観察でも大丈夫!なんです♪

■「コレステロールは低い方がまずいよね!」とリセット

コレステロール値は低めが安心ではなく、高血圧や糖尿病などがなければ、コレステロールは高めの方が元気なんです!

コレステロール値が低い人は、TCA回路をぐるぐる回す食事にかえることです。糖質過剰な食事から、ビタミン、ミネラルが摂れる「おかず中心」の食事にしていきましょう。

それでも、コレステロール値が高く気になる人におすすめなのは「ナイアシン(ビタミンB3)」と「マグネシウム」です。

「ナイアシン」は中性脂肪とLDLコレステロールを下げ、HDLコレステロールを上昇させてくれるのです。(玄米やそば、鶏むね肉や豚ヒレなど)
「マグネシウム」はコレステロールの薬のスタチンと同じような作用があります。(豆類や海のもの、のりやワカメ、干しえび、あさりなど)
コレステロールを作るHMGCoA還元酵素という特定の酵素は、マグネシウムが体内に十分にあれば酵素反応が鈍化すると考えられています。

まとめ

・コレステロール値は低い方が良いというわけではない
・動脈硬化の予防は、抗酸化力を高めるビタミンA、C、Eと運動がおススメ
・女性は更年期にコレステロールが余り、LDLコレステロールが高くなる
・コレステロールが少ないと細胞膜が弱く保水力も低下することに
・コレステロール値が低い人は、ビタミン、ミネラルが摂れる「おかず中心」の食事に
・コレステロール値が高く気になる人におすすめなのは、ナイアシン(ビタミンB3)とマグネシウム

<おまけ>
「コレステロール大論争」からコレステロールの見解をみてみましょう。
まずは「動脈硬化学会」の「コレステロール原因説」から解説します。
1970年に公表された疫学調査から「血中コレステロールは動脈硬化の関係を決定づける」というものです。7ヶ国で10年間にわたる疫学調査です。
この研究をもとに、コレステロールを下げる食事療法や薬の開発が行われるようになりました。
「日本動脈硬化学会」は心疾患が多い欧米で誕生した「コレステロール原因説」を心疾患の少ない日本に導入しているのです。日本の場合は世界基準より、より厳しい数字にしています。
 
さて「日本脂質栄養学会」はこの「コレステロール原因説」に対し、本当にコレステロールが高いと死亡率が高いのか?と疑問を投げかけたことで「コレステロール」論争が始まります。

「長寿のためのコレステロールガイドライン2010」は、コレステロール低下一辺倒の趨勢に問題を提起したのです。総コレステロールは低い方が良いという従来のガイドラインから、通常の集団の場合、総コレステロール値が高い方が長寿であると指標を出しています。
「日本脂質栄養学会」の脂質栄養指針では「コレステロールが低いとガンや脳卒中になりやすく健康長寿を損なうことになる」としています。
 
この大論争…まだ結果は出ていません。


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