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コレステロールに善玉と悪玉はない?新しい細胞やホルモンを作る 体に欠かせない大切なものです。

やずや社員歴19年。健康管理士一般指導員の國重です。 ちょっと知るだけで、健康につながる情報をわかりやすくお届けしていきます。

今回のテーマは「コレステロール」です。
コレステロールと聞くと「健康診断の数値がどうだったかな?」と気になるところです。そう言えば4月から健康診断が始まりました。すでに「済ませたよ」という方も「これから健康診断を受けるよ」という方も検査の結果はとても気になります。若い時は数値の結果に一喜一憂する事もなかったのに、年齢とともに基準値より少しでも高いと嫌なものです。

特にコレステロールの数値は、血液ドロドロ、動脈硬化の原因と言われる「悪者」のイメージ、高いと「あ〜」とがっくりしてしまいます。
今度こそはと、健康診断の前は好きなお肉や卵を控えた低カロリーの食事に変える、運動するなど数値を良くしようとにわか努力した私でした。

ところが最近の報告から、食事とコレステロールの関係は根拠がないとされ、少ない人より高い人の方が長寿というデータも出てきました。知らなかったことの多いコレステロール。今回お伝えするコレステロールのお話は、「えっ、そうなの!こんなに体にとって大切なんだ!」と思うことがいっぱいあります。ぜひこの機会にコレステロールの正しい知識を知って体づくりに活かしてください!

コレステロールは危険じゃない!

健康診断でコレステロール値が高いので「卵や魚卵などコレステロールの多い食事をとりすぎないように気を付けてください」といわれ、「私、心当たりがないよ〜!」とならないよう、本日はコレステロールの基礎知識 をお伝えします。世間でいうほどコレステロールは危険じゃないんです!

コレステロールは悪者?

健康診断でもしコレステロール値が要経過観察になって、毎日の食事を見直して卵やお肉、脂などの食事を控えめにしても、コレステロール値はあまり下がりません。
実はコレステロールと食事の関係は科学的根拠がない。とされ 2015 年の「日本人の食事摂取基準」からコレステ ロールの摂取制限が撤廃されています。80%のコレステロールは体内で作られており、食品から吸収されるコレステロールは20%といわれています。つまり食事の内容に気を付ける必要はそんなにないのです。現在ではコレステロールが少ない人より高い人の方が長寿(日本脂質栄養学会より)といわれています。LDLコレステロールが多いことが悪なのではなく、動脈硬化を進行させてしまう酸化した LDLコレステロールが作られることが危険なのです。

コレステロールは体内で活躍している!

実はコレステロールは、体の中でたくさん活躍しています。体内のコレステロールは脳と肝臓と筋肉に30%ずつ存在しており、残りの1 割が血液中や臓器などにあります。 細胞膜はコレステロールで作られています。人間の体の 60 兆の細胞の外壁がコレステロールなのです。そのためコレステロールが不足していると新しい細胞が正しく作られません。コレステロール不足がガンを招きやすいのは、細胞膜の材料が足りないために膜が弱くなり、ガン化しやすいためと考えられています。
また、男性ホルモン、女性ホルモンの他、副腎皮質で作られる副腎皮質ホルモンやステロイドホルモンなど50 種類のホルモンもコレステロールが材料です。
 脳の中でも情報が正しく伝わるように、コレステロールが脳内の神経繊維を保護しています。コレステロールは脂肪を消化する時に関わる胆汁酸の材料でもあり、脂肪の消化吸収を促進しています。 紫外線を浴びると体内で作られるビタミンD(ビタミンD はカルシウムの吸収に必要)の前駆体でもあり、コレステロールが少ない人は骨が弱くなってしまう可能性があるそうです。
ミトコンドリアでエネルギーを作る時に必要なCOQ10 もコレステロールから作られます。このようにコレステロールは悪者ではなく、生きていくうえで欠かせ ない大切なものだと考えてください。

動脈硬化(テキスト枠外)

*動脈硬化とは全身に血液を送る血管(動脈)に酸化LDLとマクロファージの粥状物質がたまって、内膣が狭くなった状態をいう

リポ蛋白のLDLとHDLの働き!

【善玉も悪玉もないと理解したほうがわかりやすい?】
コレステロールはリポ蛋白というトラックで移動します。トラックにはいくつか種類があり、そのうちのLDL(いわゆる悪玉)はコレステロールをたくさん乗せているトラックです。肝臓から体全体にコレステロールを運んでいます。HDL(いわゆる善玉)は血管などで余ったコレステロールを回収している軽トラで、元の肝臓 にコレステロールを持ち帰っています。そのためHDLが多いために総コレステロール値が高い場合は問題ないとされています。
前述のようにLDLが酸化すると、トラックからコレステロールが血管の中にばらまかれてしまいます。その時マクロファージ(免疫細胞)がこのコレステロールを取り込んで片付けてくれるのですが、マクロファージも酸化した場合、今度は血管の組織の小さな傷があるところから血管内壁に取り込まれてしまいます。これが動脈硬化や脳梗塞の原因の粥状隆起です。ここから時間をかけて血管内壁を肥厚していき動脈内腔が狭くなっていきます。最終的には、血管が硬くなり、動脈が詰まる、破裂するということになってしまいます。

*リポ蛋白:どんな脂質を運ぶかにより名前が変わります

リポ蛋白

HDL・LDL はリポ蛋白の名前!

ここで、血管の中の脂質のお話をしたいと思います。 血液は水分ですので、脂分は水の中では混ざりませ ん。そのためたんぱく質と結合して存在しています。 簡単に、アポ蛋白とリン脂質で作られたトラックがあると考えましょう。 これをリポ蛋白と言います。どんな脂質を運ぶかにより名前が変わります。
 LDL (低密度リポ蛋白  いわゆる悪玉)
 HDL (高密度リポ蛋白 いわゆる善玉)

コレステロールに善玉も悪玉もないのです!

LDLは下げた方がいいの?

LDLが多いとその分、酸化LDLの可能性が増えてしまいます。そのため、あまりにも高い場合は適正値を目指した方がいいといわれています。
LDLを減らすのはナイアシン(ビタミンB3)です。しかもナイアシンはLDLを減らしてHDLは上げるそうで す。さらに血中のコレステロールを消費して胆汁酸に変えるためにはビタミンC+鉄、胆汁酸は、腸で再吸収されて二次胆汁酸が生成されるため、新しく胆汁酸が作られず、コレステロールが消費されません。二次胆汁酸を作らせないよう、*水溶性食物繊維を食事で取ることで二次胆汁酸を排泄させましょう。最後にコレステロールの酸化防止にはビタミンC & ビタミンE、DHA・EPA も有効なのでお魚がメインの食事も取り入れましょう。よし!これなら全部食事で工夫できます。
*水溶性食物繊維: キャベツ、大根、海藻類、大豆・大麦など

HDLを上げる方法は?

HDLが高い人(80~100mg/dl 以上)は長生き症候群といわれるほど血管系のトラブルがありません。
HDL を上げる方法・・・運動してください。
1 週間で120 分以上歩くと、明らかにHDLが増える傾向にあるそうです。
健康診断まで頑張りましょう!

耳よりな情報 【豆知識 コレステロール編】です!

[豆知識 1] LDLコレステロール値の低さがお肌のトラブルと関係! 
LDLコレステロールが低すぎると、胆汁酸が作られる能力が低くなるため、脂の消化能力が落ちま す。そうなると脂溶性のビタミン A,D,E,K がうまく吸収できなくなります。しかし健康診断では低いことはあまり指摘されません。お肌の調子がわるいのが続いているとか、お肌がかさかさしている(コレステロールが少ないと細胞壁が弱く補水力が弱いため総じて乾燥した状態になる)場合には健康診断のLDLが低すぎないかも確認してみ ましょう。

【豆知識2】加齢とともに増える血中コレステロール
男性も女性も加齢とともに血中コレステロールは増加していきます。前述のように男性ホルモン、 女性ホルモンがコレステロールで作られているために 40 代 50 代と年を重ねていくとホルモンが減る=コレステロールの消費される量が減ってくるためです。特に女性の場合閉経後のエストロゲン(女性ホルモン)の低下とともに血中コレステロールは自然と上昇していきます。

【豆知識3】血管のトラブルを防ぐには
脳梗塞や動脈瘤など血管のトラブルを起こしにくくする方法として、血管を柔らかく保つことも考えましょう。コラーゲンは血管を強化してくれます。血管を柔らかく保つにはたんぱく質+鉄+ビタミン C

他にも「ちょっと知るだけで役立つ健康豆知識」掲載中です!ぜひご活用くださいませ。

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