介護と仕事を両立するためには
私の介護とお金のおはなし 講義4|講師:市川 裕子
介護と仕事を両立するためには
「介護離職」を防ぐための支援制度は拡充されていますが、残念なことに「介護・看護」を理由に離職する人は年間約7.1万人と、依然として多い状況です。
※出典:厚生労働省「雇用動向調査」/2020年
私が勤める会社でも、「支援制度を上手に使い介護と仕事を両立する人」、「支援制度を使っても離職を余儀なくされる人」、「支援制度を使いこなせず離職する人」、様々な人がいます。
今回の講座では、支援制度の創成期に何とか介護と仕事を両立した私の事例、支援制度が拡充されてきた中で介護と仕事の両立を模索している同僚たちの事例を交えながら、介護離職を防ぐための支援制度ついてお伝えしたいと思います。
まず始めに、育児・介護休業法で定められた代表的な支援制度を3つご紹介します。
■介護休業
要介護状態にある対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として、介護休業を取得することができます。
※参考:介護休業制度のリーフレット
知っておこう。介護休業制度(令和3年9月作成)
■介護休暇
要介護状態にある対象家族が 1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、時間単位*で取得できます。
※改正により令和3年1⽉1⽇からは時間単位での取得が可能となりました。
※介護休暇は会社によって、無給休暇か有給休暇か異なりますので確認しておきましょう。
■介護休業給付金
雇用保険の被保険者が要介護状態にある家族を介護するために介護休業を取得した場合、一定の要件を満たせば、原則として介護休業開始前賃金の67%が支給されます。
支援制度の創成期に介護をしていた私の場合、「介護休暇」は無給休暇でした。
そのためまずは「介護休暇」を取得できるように会社の手続きをし、会社や上司・同僚に介護をしながら仕事をしていることを伝え、認識してもらい、協力を仰ぐ体制を整えました。
でも実際に母の介護で会社を休む時には、無給休暇の「介護休暇」よりも通常の「有給休暇」を使っていました。
幸いにも私の場合は、近くに住む妹の手を借りることができたので、二人で助け合いながら介護と仕事の両立を図ることができました。
その後、私の勤める会社の介護支援制度が拡充され、現在は「介護休暇」は有給休暇になり、時間単位の取得が可能となりました。
また介護のための在宅勤務が導入されました。
介護を理由に退職する際には、『再入社チャレンジ』の登録ができるようにもなりました。
現在介護をしている同僚たちは、「介護休暇」と「在宅勤務」をフル活用しながら介護と仕事を両立しています。
なお、介護が始まるときには色々な手続きがあったり、調べること・確認することがあったりと、連日会社を休む必要がある場合があります。
そんな時期から介護状態が安定するまで「介護休業」を取得し、復職してくる同僚もいます。
このように支援制度を上手に使い介護と仕事を両立している人がいる一方、支援制度を使いこなせず離職する人もいます。
介護をしながら仕事をしていることを周囲の人に言えなかったり理解してもらえず、相談したり人の手を借りること・支援制度の情報を得ることができなくて自分一人でだったり、家族だけで介護をしていくうちに限界を迎えてしまう。
そんな真面目で頑張り屋さんの人が多いような気がします。
以前は介護しながら働いていることを公にしない人が多かったですが、だんだんと声をあげ周囲の協力を仰ぐようになると支援の手も広がってきました。
職場の支援制度は対象者・活用する人が増えるにしたがって、要望を知ることにしたがって拡充されていきます。
今回ご紹介した3つの支援制度のほかにも下記をはじめとした支援制度があります。
①所定外労働の制限
②時差出勤制度
③深夜業の制限
④短時間勤務制度
⑤転勤に対する配慮
職場や周囲の人の協力を仰ぎながら、ご家族とご自分に合った支援制度を上手に活用し、介護と仕事を両立していきましょう!
次回のテーマは『「快適老後生活」どこで暮らそう?』
住み替えの検討と資金の準備方法についてお伝えしたいと思います。
講座のコメント欄に質問や詳しく知りたい内容をご記入いただければ、リクエストにお答えしていきたいと考えておりますので、遠慮なくご意見や感想をいただけると嬉しいです。
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講師プロフィール
介護ファイナンシャルプランナー CFP®
市川 裕子
講師インフォメーション
▼NPO法人くらしとお金の学校
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