老後を楽しく生きる〜住まい探し〜最終編
老後を楽しく生きる〜住まい探し〜最終編|講師:山床 哲夫
*この記事はココカラ大学2020年5月〜11月まで連載していた内容を移設掲載しております。
今回でこちらの講座は最終回となります。
老後の不安として、
「これから年を重ねていく中で、どんな生き方を選んでいけばいいんだろう」
「老後はどこで、どのような住まいで暮らしていけばいいんだろう」
その答えを探しながら、講義1から講義5まで、ライフプランナーの山床講師が、老後の住まい探しのご提案を事例を交えながらお伝えしてまいりました。
そこでわかったのは、答えは1つではない事。
お一人お一人の考え方や性格、志向するライフスタイルが違うのと同様住まい選びも違うという事でした。
最終回となる今回は、住まいにはどういった種類があるのか?住まい選びの準備として知っておいて頂きたい点を、2020年11月5日(木)ココカラParkで開催しました、山床講師の生ライブセミナーからポイントをいくつかピックアップしてお伝えしてまいります。
セミナー『老後を自分らしく生きるために大切な「住まいの選び方」講座』です。
動画も配信しておりますので、セミナーを見逃されました方はこちらの動画をご覧ください。
1.老後の住まい選びの種類から(あなたは介護派?それとも自由派?)
昔は、「歳をとれば養老院に行く」ものと思われていた時代から、今は「自分に合った老後の住まいを自分で選べる」時代になりました。
非常に生きやすい時代であるとともに、自分で探すのが大変、わからないというお声も耳にします。
そこで、今回は皆様にもわかりやすくパネルを5段階に分けて、老後の住み替えの選択肢を図表にしてみました。
図表をご覧いただくと、介護と書かれている左の矢印になればなるほど介護度が高く安心安全が高い住宅を、そして自由と書かれている右の矢印に行けば行くほど自立型の自由度が多いストレスフリーの住宅となります。
ここで介護と自由の典型的な住宅を紹介しましょう。
介護を選ぶ方に、介護型施設(介護付有料老人ホーム)があります。
安心安全はありますが、縛り・ルールも有ります。
介護型は認知症の受け入れがあるため、施設の責任により一定の縛りは出てきます。
自由を選ぶ方に、高齢者向賃貸住宅(自立型高齢者住宅)や自宅があります。
自由度は高くなりますが、家事など自分でしなければいけない不便さは出てきます。
ただし、不安な箇所にだけ在宅サービスを当て自分らしい生活を送ることはできます。
介護度が高い方、自由度が高い方、これはご自分の意思で決めることができます。
年齢だから・要介護があるから・体が元気だから、それだけの理由で住宅の選択肢の基準ではなくなったという事です。
重要なのは、ご本人のこれからどう生きていきたいかを選択することだという事です。
住まい選びの大切なポイントは?
自分のライフスタイルを選ぶ事が住まい選びのポイントになります。
施設に住み替えた時の満足度はそれだけ高くなります。
今は色々なサービスをつけることでその人らしく生活することが可能です。サービスの利用を上手に使う事が秘訣。
次に実際に住まい探しをされた方の事例をご紹介します。
①60代の奥様に先立たれた男性の場合
奥様に先立たれお子様のいない60代の男性で、ゴルフ、飲み会にも行く元気な方に、シニア向け住宅(自由度が高い住宅)を紹介しました。
ところが結果は、自由はいらないから安心安全の介護型施設がいいと希望されて入居されました。こちらは介護を優先されたケースです。
②要介護3の90歳近い女性の場合
要介護3で90歳近い女性に、介護型施設を紹介しました。
それは安心安全を一番と思ってのことでしたが、ご本人様はより自由度の高い住宅を最終的に選択。
友人との語らいやお料理がしたいという思いがあり、施設のルールに縛られるなら死んだほうがマシとまで言われて自由を選ばれました。
このように年齢や身体の理由だけで決めるのではなく、ご自身の希望を優先に住まいを選択されています。
2.住み替えで多い不安は?
今相談を受けていてお客様からの一番多い質問が、
質問:高齢者向け賃貸住宅に入った場合いつまでいられるの?体が悪くなったらそこから出ないといけないの?
施設によっては入居時に認知症の問題や介護のレベルで難しい場合もありますが、入居後に身体が急変しても退去を求められることはありません。
今後どういった生活ができるか相談の上、対応しています。
住み替えのケースとして、サービス付高齢者住宅について
近年需要が多いサービス付き高齢者向け住宅に住み替えた時にどういうことができるのかご紹介します。
自分で自立して生活ができるということでは自宅と同じではないかと言われますが、老いが進まない予防サービスが充実しています。
そのため、ご自分の不安な箇所にだけ*外部の在宅介護サービス(安否確認、生活相談・支援など)の提供を受けて快適なライフスタイルを楽しんで頂けます。
また、2000年から始まった介護保険制度により支援や介護の度合いに応じた介護サービスも利用できます。
*外部の事業所と別途契約を結んだ在宅サービスの事
何故?自立型高齢者住宅が選ばれるの?
理由として、
①自立した子供の生活と親の生活リズムが違うため同居はどうも?という事で以前流行った2世帯住宅の例がありますが、同じエリアより近距離での高齢者住宅を選ばれるようです。
東京、神奈川、千葉、埼玉では、半数以上はご子息が呼び寄せを近距離を理由に選択されています。ちなみに近距離とは、1駅くらい離れている(隣町程度)距離間のこと。
②次に、賃貸者契約で住み替え後、もし気に入らない場合でも退去できます。この点が好まれています。もし、高齢者施設や住宅を購入した後で、入居者と合わない・一時金を支払った後にもっといい場所が見つかった・体の事情によってサービスを受ける事が難しい等問題が起きた場合、一時金の支払いが発生していないので別の施設に移れます。
③一般の賃貸の場合に起こる更新の問題(年齢制限、大家さんが変わるケース)がありません。
④施設の安全
駆けつけサービスやバリアフリーなど施設としての安全があります。
もちろん引越しをすると環境は変わりますが、体に「変化」があってもカスタマイズができるという点で、安全の中で生活ができ、親にとっても子供にとっても家族の安心につながります。
3.住み替えはいつがベスト?
住み替えは65歳からがベスト。
住み替えまでの流れは、
相談を受けて→見学→検討→申込→契約→引越し→住替
元気な時と体力が弱くなった時の住み替えの労力と時間は3倍違ってきます。
その為にも早めに入居をされてサービスの恩恵を受ける方がベストですね。
4.コロナ禍による変化
コロナ禍により、介護施設の入居者が退去し自立型に住み替える人が増えてきました。
それは、身体的弱者のために介護型施設では消毒の徹底・外出の制限など厳戒態勢をとっております。
そのため家族に会えないなど自由がなく窮屈な生活となり、束縛を嫌がって住み替えを求める方が増えたという新しい現象がでてきました。ここでも安心安全より自由を選ぶ方が増えました。
最後に、住まいの選択は個人の生き方にあります。ぜひ今までお伝えしてまいりました情報をご家族やご自分の老後の住まい選びにご活用願います。
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講師プロフィール
ライフプランナー
山床 哲夫(やまとこ・てつお)