「空の巣症候群」にならないために今からできること
ココカラ夫婦物語 講義20 |講師:高草木 陽光
「空の巣症候群」にならないために今からできること
「空の巣(からのす)症候群」という言葉、聞いたことがありますか?
空の巣症候群とは、自分の子どもが自立していくことで、喪失感や空虚感に襲われ、精神的に不安定になったり身体に不調をきたしたりすることです。
“子どもが生きがい”になっている人は要注意
「髪を振りみだしながら育児に専念していた頃が懐かしい」。
そんな余裕がでてきた今だからこそ、“子どもの自立”が現実的になってきているはずです。
本来、子どもが巣立ち、自立することは、親にとって喜ばしいこと。
しかし、なかには“子どもの自立”を素直に受け入れることができない親もいるのです。
いつの間にか、毎日の生活が“子ども中心”になっている人は要注意です。
それは、子どもに「依存している状態」だということ。
子どもが巣立つことは、どんな親にとっても嬉しいことでもある反面、寂しさも伴い、微妙な心境だということはよく理解できます。
ですが、今までとは違った角度と距離感で子どもを見守っていくことも、親としての大切な役目なのではないかと思うのです。
阿部美津子さん(47歳・仮名)・夫(50歳)・息子(19歳)の場合
美津子さんは、1年前に原因不明の体調不良に悩まされました。
朝起きるのも億劫で、何もする気力がなく、わけもなく涙が出てきたり、イライラしたりすることが多くなって、夫との口論も絶えませんでした。
実は、このような症状が出始めたのは、ひとり息子の大学進学が決まった直後からでした。
息子がいない生活を想像するだけで、涙が止まらなくなり、気分が落ち込んでしまうのです。
そうは言っても、都内で一人暮らしをすることになった息子のために、物件を探したり引っ越しの準備をしたり、現実は慌ただしく過ぎていきます。
親として心配はありましたが、息子の成長を実感し、嬉しく思っていたそうです。
しかし、いざ落ち着いてみると、目の前に息子がいない毎日が“無意味”に感じて、虚しさが募るばかり……。
「私は、ご飯を作るのも、洗濯をするのも、毎日笑顔でいることも息子のためだけにしてきたのだと気付きました」。
美津子さんは、弱々しい声でそうつぶやきました。
彼女は、自分の人生と息子の人生を混同していたのです。
抜け殻のようになってしまった美津子さんが、きちんと“自分の人生”を歩めるようになるには、自力で立ち上がるしかありません。
いままでのように「誰かのため」ではなく、今後は「自分のため」に楽しめる日常を目指し、考え方を変え、行動していくしか方法はないのです。
「空の巣症候群」にならないためのオススメ行動
1:子どもに関わりすぎない
2:ボランティアに参加する
3:信頼できる友達や仲間と交流する
4:自分が「楽しい」と感じることを探して実行する
5:食事を見直す(健康な身体と正常な精神状態をつくるため)
6:夫婦関係を改善する(夫との関係が悪化していると子どもへの依存心が高まるため)
「空の巣症候群」になりやすい人の特徴7つ
次に、空の巣症候群になりやすい人の特徴を見ていきましょう。
何事も完璧にやらないと気が済まない人や良妻賢母にこだわる人は、自分のルールを人に押し付けてしまいがちで過干渉になりやすかったりするため、子どもとの距離感を見誤ってしまう人も少なくありません。
また、夫への不満が多く夫婦関係が上手くいっていない人も、自分の心の隙間を埋めるために“子ども”を頼ってしまう傾向があります。
1:完璧主義
2:良妻賢母
3:夫婦関係が険悪
4:人付き合いが苦手
5:優先順位は夫よりも子ども
6:どちらかというとマイナス思考
7:趣味がなく子どもだけが生きがい
8:自分の両親や義理の両親との交流があまりない
せっかく自立しようとしている子どもに対して必要以上に世話を焼いてしまい、子どもの人間的成長を妨げてしまっている残念な親御さんもいることはいます。
どんな親も子どもの幸せを願う気持ちは一緒なのに、親の身勝手で自立したくてもできない子どもがいることも事実です。
ぜひ、近すぎず離れすぎず、程よい距離感を保ちながら我が子の成長を見守ってあげていただければと思います。
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講師プロフィール
高草木 陽光(たかくさぎ・はるみ)
講師インフォメーション
▼著書《なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか》
▼イラストレーター 多田 景子 ホームページ