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いよいよ本当の一人暮らしに、徒然

現在の住居、小田原に東京から引っ越してきたのは夫が亡くなったことがきっかけだった。
生活の縮小のためと、一度は住んでみたかった海辺の街に憧れてここを選んだ。
それから高齢の義母(97才)と愛犬スー(16才)が安心して最期を迎えられる場所・・・ということも大きなポイントだった。
義母もスーも小田原にすっかり馴染み、義母に関わってくださったケアマネージャーさんたちに大変お世話になり、大変な思いもせずに見事「老衰」で旅立っていった。
ここ小田原での5回めの春のことだった。

それからちょうど1年後、スーも逝った。
ずっと心臓が悪く時々発作と痙攣を起こしていたけれど、最期は小さく痙攣した後「もういいでしょ?」てな目をしたので「いいよ、ありがと」と言ってやったらホッとした顔をして死んでいった。
今も思い出すと涙が出るけれど、それは反射的な涙であって、押しつぶされるような悲しみの涙じゃない。

11年前から始まった夫の闘病。通院生活ではあったけれど普通に仕事もできたので、最初深刻には捉えていなかったけれど、段々と治療の方法も変わり手術も重なっていった。
車椅子でバスと電車を乗り継いでよく通院してたなあ~体力あったな~と自分でも驚くわ。
それと義母さんの通院付き添いも月に数日あったので今思うと・・・なかなかハードな生活をしていたようだ。
ようだ・・・なんて人ごとのように言ってしまうけれど、済んでしまえばけっこういい具合に忘れるもんである。細かく覚えてたら辛すぎるってこともあり。

夫、義母、長女、長男、そしてスーとの5人と1匹での生活はだんだんと人が減っていったわ~。
長女が結婚して家を出た。
5年前夫が亡くなった。
そして昨年義母さんで、今年はスー。
続いて8月に息子が独り立ち~。
♪10人のインディアン♬の歌が口をつく。
One little, two little, three little Indians・・・とだんだん増えていくインディアンボーイズら。
そして二番の歌詞ではだんだんと人数が減っていくあの童謡。
まさしくあれね!と思ったわ。

薄ボンヤリとでも「一人の生活」を想像しなかったわけではないけれど、実際にone littleindian boyになるとわりとこたえるものなんだなー。
「おひとりさま生活」に慣れていないものだから、急に来た(ホントはじわじわ来てたはず)ひとり生活に戸惑いを覚えた。
なんの縛りも気兼ねもない一人の生活はラクである。
楽ではあるけれど、なんの気配も感じられない家は楽しくない。夜のゴキブリやゲジゲジ虫は怖いよ。
楽と楽しいって字は同じだけど、ラクと楽しいはイコールじゃない。
とはいえ・・・自分が元気なうちにこの新しい生活「おひとりさま」を楽しもう!とも思う。

家を出た子どもらとはLINEなどのSNSで繋がっている。
私はブログやインスタをちょいちょい更新しているものだから、子どもらはそれで母の元気を確認していることだろう。
「SNSで生存確認」これからますますそうなっていくのかな、なーんて思うよ。

夫が亡くなった時にすぐにしたことは生活の縮小で、それは大いに捨てることから始まった。
テーブル2台、椅子8脚、フロアスタンド3台、タンス2竿とかね、大型の家具も本も服も見直し対象とし「これからの生活に必要最小限」と念仏のように唱えて捨てる作業をした。これが一番辛くて大変だったんだと今は思う。
当時は何かしていないと前に進めていないような、生活を変えないと潰されるような、何かに追われるような感じだったのかも。忙しくしていることが前に進めているような錯覚?だったのかもね。
でもそんな勢いがあったおかげてこうして暮らせているのだから、えらかったぞ!と自分に乾杯してやろう。

そして今、もう一段階の生活の縮小を考えはじめているところだ。
手始めに台所関係から。
一生懸命処分してきたはずの鍋類だったのに、ヒタヒタと数個増えてしまった!
軽い鍋の方が使用頻度がだんぜん高いので、重い鍋はもうすっかり手放すことにした。
電気釜、電子レンジ、ホットプレート、たこ焼き器も処分対象。
これだけでもずいぶんと台所がすっきりとしてくる。
食器類ももう少し減らす方向で片付けている。
複数枚あるお皿は2枚以下に・・・などマイルールも設けた。
台所と同様に衣類もヒタヒタと。いま一度の見直しが必要と思われる。

と、一人になればなったでやることはいっぱいあるのだ。
身の回りを小さくしておけば、とにかく動きやすい。
アクションを起こすのも億劫ではなくなるはずだ。
とにかく持ち物をコンパクトにする努力を続けないと!と思う。
はっ!!これってもしかして老い支度っていうことなの?
まあ、何にしろ支度しておくのは悪くない。

友だちに「生活縮小のための引っ越しも考えているの」と話したところ
「何にいちばん重きを置いてるの?」と質問された。
生活していく中でいちばん大事なことは何か・・・ということである。
深~く考えれば二、三個は出てきそうだけれど、即答したのは「海近ってことかな」だった。
波乗りや遠泳など海のスポーツをやっているわけでもないけれど、やはり歩いて行けるところに海があってほしい。
そうか!と膝ポン!伊豆でも沖縄でもいいだ!と思いついたとたんにフワ~~~ッと心が軽くなった気がした。
一人になった身軽さをシミュレーションで体感する。

身軽になったことを私は心から言祝ぎたい。
なんの気配もない家、世話するものがないと嘆くより観葉植物でも人形でも目を向けられるものを周りに侍らせよう♬
いつも夫の趣味のCDをかけていよう。聴いてないのがたくさんあるし。
そしてチャンスが(引っ越しとか、楽しそうなお誘いとかね)良いタイミングで訪れたならば、ススッと乗っていける体力と好奇心の保持でいこう。
「老い支度」も良いものかもね。
より居心地良い日々の連続が老い支度につながっている。

ココカラPark編集部より
本田先生とあまりお会いできなかったこの一年の間に、本田先生のご家族のお話をポツリポツリと聞いていたのだけれど、こうして徒然の今の心境をお聞きすると壮絶だったのではないかと・・。いつもの佇まいからは全く想像もできないけれど、辛いことも大変なことも乗り越えられてきた強さがズンと中心にあるからこそ、気持ちも切り替えることができるのではないかと思うのです。一人になったからこその新たな本田先生、何かまた面白いことをされるのではとまだまだ目が離せません。

この記事で初めて本田先生のことをお知りになった方は、自己紹介もお読みくださいませ。

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