“良かれ”と思って言ってない? 要注意!「無神経な言葉」3選
ココカラ夫婦物語 講義35|講師:高草木 陽光
“良かれ”と思って言ってない? 要注意!「無神経な言葉」3選
先日、全員同じような黒のリクルートスーツを身にまとい、ゾロゾロとコンビニへと吸い込まれていく新入社員らしき団体さんを目撃しました。
社会人になると学生時代には想像もしなかった様々な“人間模様”を目の当たりにすることもあるかもしれません。
新入社員の人たちには、そんな厳しい“大人の社会”に幻滅することなく、強く、優しく、たくましく、そして毎日を楽しめる社会人になってほしいな〜と老婆心ながら願い、その場を通り過ぎました。
さて、今回は、『“良かれ”と思って言ってない? 要注意!「無神経な言葉」3選』、というテーマでお送ります。
友達や知り合いを“勇気づけよう”と思って、無意識にかけている言葉のなかには、実は逆に相手を傷つけてしまう「言葉」があります。
「良かれ」と思ってかけた言葉で大切な人が傷ついてしまうなんて自分もショックですし、申し訳ない気持ちでいっぱいになりますよね。
いったい、どんな言葉なのでしょうか?
【1】天国の〜が悲しむよ。
・40年間連れ添った夫を亡くした人に対して……、
「そんなに泣いてばかりいると天国のご主人が悲しむよ」。
・これ、言っている側は励ましているつもりなのでしょうが、言われた側は結構辛いのです。悲しみが癒える時間は人それぞれですから。
数日したら“普通”に見える人でも、夜な夜な一人涙している人もいます。
この言葉を言っていいのは、夫を亡くした妻本人だけです。
「こんなに泣いてばかりいたら、あなた(夫)が悲しむよね……」と、悲しみから立ち直るために自分で自分に言い聞かせる言葉であり、他人が言う言葉ではありません。
大切なご家族を亡くされて傷心している人に対しては、その悲しい気持ちに「悲しいよね」「辛いよね」と寄り添ってあげたり、本人の体調を気遣ってあげたりするだけで、ありがたい気持ちになるものです。
【2】初期でよかったね。
・初期のガンが発見された人に対して……、
「初期のガンでよかったね」。
・初期でも、ガンはガンです。言った側は、「末期じゃなくてよかった」という意味で励ましたつもりなのでしょうが、本人としては初期のガンでも素直に「よかった」とは思えないのではないでしょうか。
これと似たケースで、何針も縫う怪我をした人に「顔じゃなくてよかったね」と言ってしまう人もいます。言われた人は、きっと複雑な気持ちになるでしょう。
このケースも、【1】と同じように、他人が言うことではありません。「初期でよかった」「顔でよかった」と言うのは、少しでも自分を安心させるために自分が自分に向けて言う言葉です。
【3】二人とも(両方)悪い。
・夫に不倫された女性が、ショックと怒りから友人に打ち明けたところ……、
「あなたも悪いところがあったんじゃない?」と。
・夫婦なんて、どちらか一方が100パーセント悪いなんていうことはほとんどないので、夫婦喧嘩は「喧嘩両成敗」でお互い様なのですが、「不倫」となれば話は別です。
不倫をしてしまう「原因」は、お互いにあったのかもしれませんが、“不倫”の「責任」は100パーセント「不倫をした方」にあり、損害賠償を請求されることもあります。
ですが、なんとなく“他人事”の感覚で話を聞いている人のなかには、なぜか「両方(二人とも)悪い」と結論づけてしまう人もいます。
辛さを理解されるどころか、自分まで“悪者”にされてしまう心境は、いかばかりかと胸が痛みます。
また、これと似たケースでよくあるのが「いじめた側」と「いじめられた側」、「痴漢をした側」と「痴漢をされた側」を比較して、「被害者も悪い」と言ってしまう無神経な人たち。
不倫されてしまった人も含め、このように一部の心ない人の言葉や行動によって、被害者は“二次被害”を受けてしまうことがあります。
人を気遣う気持ちは尊いものです。
でも、せっかくの気持ちが相手に届かず、逆に傷つけてしまったりモヤモヤさせてしまったりするのは非常にもったいないですよね。
「無神経な人」と言われないためにも、常に相手の立場に立って考えられる大人でありたいですね。
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講師プロフィール
高草木 陽光(たかくさぎ・はるみ)
講師インフォメーション
▼著書《なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか》